③ 鹿児島・屋久島 Day3|生命の島へ――屋久島との出会い

鹿児島

屋久島、一周100km

 屋久島は、大隅半島佐多岬から南へ約60kmに浮かぶ島である。

朝一番で鹿児島南埠頭から高速船に乗り、種子島経由で約3時間かけ到着した。

本番の縄文杉トレッキングは翌朝からなので、前日入りした形となる。

鹿児島の旅も三日目。

そろそろ弾丸ツアーの疲れも出てこようという時期ではあったが、しかし、不思議と疲れは感じなかった。

後日、とてつもない疲労の塊が襲ってくるのだが、この時は、まだ知る由もなかった。

兼ねてより予約しておいたレンタカーで島を一周するという計画に沿って、宮之浦から時計回りで約100kmを半日で走ることを目指す。

屋久島は、ほぼ真ん丸と言っていい形をしている。

果たして、レンタカー返却18時までの6時間半で戻って来れるのか!?

本当に戻って来られるのかという不安を抱えながらのスタートだった。

まずは、山道を登る。

登る。

ひたすら登る。

屋久島は、島へ着いた瞬間から、すでに私たちを試しているようだった。

森が息をしていた

 白谷雲水峡。

ここは、映画「もののけ姫」 に出てくる森のモデルと

と言われている。

入るなり、水気を含んだ空気が肺の奥に染みわたり、水のせせらぎは、身体にまとわりついた穢れを払ってくれるかのようであった。

また、一面木々の緑と苔の緑は、自分まで森の一部になってしまうような安らぎを感じさせた。

あまりの気持ち良さに、

ちょっとのつもりが、あと少し、あと少しといった調子で、気付けば700mも入り込んでしまった。

そこに突如、

高さ32m、胸高周囲4.4mという大男のような巨木が行く手を見守るように立っていた。

ここまで来ると、人が森を歩いているのではない。

森の中へ迎え入れられているような気がした。

二代大杉。

もはや大き過ぎて、上を見上げても先端がどこにあるのか確認できない。

よって、カメラのフレームには収まり切れない。

根元から見上げるだけで、見とれるというか、圧倒されるというか・・・

まるで、「ジャックと豆の木」の世界に迷い込んだ気分であった。

海が引く、その時だけ

 私がまだ20代の頃、とある社長から、

島へ人を呼び込み、活性化させるためのアイデアはないか。

と聞かれたことがある。

その時、私は、当事者ではない気軽さから、干潮時に海中から、失われたアトランティス都市やアレクサンドリア図書館など、古代遺跡が現れたら面白いですよね。

と、一人、目を爛々と輝かせ伝えた。

しかし、予算的なことや、波浪による劣化の危険性など諸々の理由で却下になった。

当然と言えば当然の結果であったのかもしれないが、そんな夢のような映画のような場所があってもおかしくないのではないかと思った。

だから、最初に平内海中温泉を見つけた時、否応なしにあの時の興奮に似た感情が蘇った。

 海中温泉と名が付く理由。

それは、温泉が海中から湧き出るからという率直な理由。

しかも、1日2回の干潮前後2時間だけしか入浴できないというある意味スリリングな温泉。

海岸に下りると、地元の男性2人がいらっしゃって、まごまごしている私たちに色々と教えてくれた。

青空の下で、すっぽんぽんになるのは、小学生ぶりだなぁ・・・と思いながら、

太陽に恥じらいつつ湯に浸かった。

規格外

 写真というものは不思議で、人などの対象物を入れて写さないと、それが大きいものなのか、小さいものなのか判断しかねる場合がある。

この島では、人間の尺度で物事を測ってはいけない。

 例えば、中間ガシュマル。

とにかく大きい。

気根を地面まで伸ばした姿は、まるで触手のようであり、ここが南国であることを示すには十分な姿であった。

同時に私は、木の種類は違うかもしれないが、昔のアニメの「ふしぎな島のフローネ」 で出てくる木の根の上に造った家を連想した。

 次に寄った

大川の滝も壮大で、

落差88メートルは、九州一の高さを誇る。

もはや、人が写っていても、その大きさは伝わりきらない。

『キングコング:髑髏島の巨神』に登場するキングコングでも約32mだから、流れ落ちてくる水で顔を洗っている姿を思い浮かべれば、なんとなく滝のデッカさが分かる気がする。

森の住人たち

 片側一車線だった道は、

いつしか、

すれ違うのも難しい、細く曲がりくねった道へと変わった。

「あっ!」

息子が叫んだ先に、

ヤクシカが悠々と歩いていた。

車内の歓声を他所に、それはもう、ゆっくりゆっくりと斜面を上っていく。

これは同じく道端で出合ったヤクザルも一緒で、約20kmの西部林道では、200m進むたびにシカやサルに出会ったが、警戒して威嚇したり、オドオド様子を伺うという素振りもなく、ゆったりとマイペースに草をはんだり、毛づくろいをし、私たちには目もくれずといった感じであった。

 やがて、林道を抜けると、日本一のウミガメ産卵地、

永田いなか浜に着く。

産卵時期は5月から8月だったので、

ウミガメの姿は見つけることができなかった。

しかし、砂浜を小麦粉を踏むような感触で、きゅっきゅっと鳴らしながら歩いているうち、

それに似た岩ガメは発見できた。

何とかレンタカーを18時までに返却し、この日は明日に備え21時に就寝。

シカもサルも、人間を気にする様子はまるでない。

この島では、私たちの方がよそ者なのだと、改めて感じさせられた。

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