地底の造形美
帝釈峡は、広島県を横長の長方形に例えるなら、ちょうど右上の端にある。

手を伸ばせば岡山県に届きそうな場所にある。
いやさ岡山県ばかりではない。
1時間も車を走らせれば島根県、鳥取県と県境が込み合っている場所で、まさに中国山地の中心部である。
そんな山深い場所にもかかわらず、石灰岩が侵食したカルスト台地で形成されている。
つまりは大昔は海の底だった・・・なんて嘘のようでホントの話。

そんな灰色の岩壁に、ひっそりと口を開けていたのは「白雲洞」。

人が一人やっと通れるような白雲洞は、約30万年から200万年という気の遠くなるような歳月をかけ、

雨水が石灰岩をゆっくり溶かし続けて生まれた。

約200mの通路の中には、石灰岩と雨水が生み出した造形美が広がる。

七福岩、おじぎ岩、天ぐ岩、月のうさぎなどがあり、突き当りは、一角の風穴を以って終了したのだが、最初から最後まで圧巻の白の世界だった。
三億年をくぐる
まるで鬼が爪で引っかいたような

「鬼の唐門」に圧倒されつつ、

再び元の遊歩道へ戻り、

川沿いを歩けば、新緑が視界いっぱいに広がる。

まるで、

五月そのものの中を歩いているようであった。
全身が緑に染まった頃、、やっとこさ本日のメインが見えてきた。

この自然が創り出した橋は、「雄橋(おんばし)」と呼ばれている。

長さ90m、幅19m、高さ40mの

渓流の水と浸食作用によって生まれた天然橋は、

言い換えれば時間の塊で出来ている。
そんな橋は世界広しといえども、そう幾つもあるものでもない。
その橋の下では、無邪気な2歳の娘が、

滔々と流れる川へ石を投げた、その何気ない一瞬も、未来から振り返れば、もはや3億年の一部。


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