前回の岡山旅では、鬼ノ城、吉備津神社、備中国分寺を巡り、古代吉備の足跡を追いかけた。
鬼を追いかけていたはずが、気がつけば古代史に辿り着いていた旅である。
ならば今度は、その時計の針を少し進めてみようと思った。
今回向かったのは、備中、そして美作。
戦国時代、羽柴秀吉による水攻めの舞台となった備中高松城、山上にありながら、今なお天守を残す備中松山城、そして翌日は、美作の中心として栄えた津山へ。
幾重にも重なる津山城の石垣を歩き、鉄道の町としての歴史に触れ、法然上人ゆかりの誕生寺を訪ねる。旅の最後に辿り着いたのは、一つの小さな木造駅舎だった。
そこには、いつかどこかで見たような昭和の風景が残っていた。
高梁も、津山も、広島から決して遠い場所ではない。
それなのに、
「そのうち行こう」
と思い続け、実際に辿り着いたのは40代最後の歳になってからだった。
近いはずなのに、随分と遠かった場所。
そんな二つの城下町を巡る、2日間の旅である。

Day1|時計の針を進めて ―― 水攻めの城から天空の山城へ

1日目は、戦国時代の大きな転換点となった備中高松城から旅を始める。
一見すると、どこに城があったのかさえ分からないほど平らな土地。
しかし、その低湿地こそが城を守り、やがて秀吉の水攻めに利用されることになる。
清水宗治の最期、そして本能寺の変。
備中高松城で歴史が大きく動いた後、北西へ向かい、高梁の城下町へ。
山懐に抱かれた町を見下ろす臥牛山には、現存12天守の中で唯一の山城、備中松山城が待っていた。
水に囲まれた城から、天空に残った城へ。
二つの城を巡りながら、戦国から江戸へと時計の針を進めていく。
Day2|懐かしい風景を辿って ―― 朝焼けの城下町から記憶の中の駅へ

窓から差し込む朝焼けで目を覚ます。
前夜には見ることのできなかった津山の街が、薄紅色の光の中からゆっくりと姿を現していく。
2日目は、そんな朝の津山から始まった。
巨大な石垣を残す津山城を歩き、失われた天守の姿を想像する。
津山まなびの鉄道館では、扇形機関車庫と転車台から、鉄道の町として歩んできた津山の歴史に触れ、そこから津山線に沿うように南へ。
法然上人が生まれた地に建つ誕生寺を訪ね、旅の最後に向かったのは美作滝尾駅だった。
映画『男はつらいよ』で寅さんが降り立った、小さな木造駅舎。
初めて訪れた場所なのに、なぜか懐かしい。
高梁から津山へ。
城下町、鉄道、寺、そして昭和の駅舎。
時代を越えて残された風景を辿っていくうちに、その懐かしさの正体が、少しだけ見えたような気がした。



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